メンバー揃えられずコパ敗退。直後に解任
続くハイチ戦は7対1と大勝するが、相手が格下であり、けっしてブラジルが好調であることを示したわけでもなかった。第3戦のペルー戦にもおいても、決定力を欠き、1点も入れられない。引き分け以上で、グループリーグ勝ち抜きであったのに得点が入らない。反対にペルーは、実際はハンドであったゴールが得点と認められ、ブラジルの敗退が決まる。
ペルー相手に攻めきれなかったブラジルに対して、会長が前途を不安に感じたのも無理はなかった。それにしても、かつての強いブラジルはどこへ行ってしまったのか。もはや強いブラジルの片鱗さえもみえない、平凡なチームだと誰の目にも映ったにちがいなかった。
敗退後すぐにドゥンガ監督の解任と、次期監督チテの就任が発表された。
不本意なメンバーしか集められず、コパ・アメリカに臨んだドゥンガ。ドゥンガとしては、コパ・アメリカを利用して、オリンピックや南米予選に向けてのテストを行ったり、チームの熟成をはかる機会にもできたはずだった。セレソンの将来や南米予選を考えるならば、ネイマールも、コパ・アメリカを優先させるべきではなかったのだろうか。
ペレはドゥンガを庇いながらもチテ新監督を歓迎するコメントを出した。
「ブラジル国民に理解して欲しいのは、ドゥンガは代表においてけっして悪くなかったと言うことだ。監督として真剣に取り組んでいた。しかし代表はチテという優れた監督の手に委ねられた。チテは代表監督にふさわしい人物だ。十分に能力があるのは言うまでもない」
ブラジルの監督交代は毎回ミステリアスなものだ。たしかに成績、結果によってやめさせられるのはしようがない。しかし、コパ・アメリカのメンバー構成を考えれば、そこで結果をだせというのは少し無理がある。かつて2001年、日本で行われたコンフェデ杯に二軍と言えるようなメンバーで臨み、成績不振の責任をとられたレオン監督のことが思い出される。あの時もすでに次期監督にフェリペ・スコラーリの名前が挙がっていた。