ネイマールの不在。狂い始めた歯車
ドゥンガとしては再就任以来、12戦目で初の敗戦であり、またネイマールを4試合失うという厳しい状況を迎えることになる。これまで、ネイマールの好調に支えられ連勝を続けてきたが、ネイマールがいなくなることで一気に歯車が狂い始めることになる。
コパ・アメリカは結局、ベネズエラには勝利しグループリーグは勝ち抜くが、次のベスト16でパラグアイと対戦、PK戦の末、敗退してしまう。
コパ・アメリカが始まる前、ドゥンガはこのように話していた。
「いかなる個人的に優れた選手がいたとしても集団としてまとまっていなければ勝利できない。ワールドカップでもいくら優れた選手がいても、それだけでは優勝した試しはない。優れた選手は、試合において大きな差をつけることはたしかだ。強い集団が個人を支える。個々が集団を形作る。たった一人しか優れた選手がいない代表は目標を達成できない。そして集団的にも優れた代表は決勝まで到達できるのだ」
しかし結局はネイマールなしではだめなことをさらに印象づける大会になってしまった。
5月5日、ドゥンガは6月4日から始まるコパ・アメリカ・センテナリオに向けての招集メンバー23名を発表した。ネイマールはオリンピックに出場するため、バルサからコパへの出場は許されていない。
ドゥンガにとってコパ・アメリカに臨むにあたって2つの目的があった。一つはネイマールなしで攻撃陣が機能するかをテストすること。そしてもう一つはオリンピックに出場する23歳以下の若い選手たちに大会を経験をさせることだった。
さらにもう一つ、ドゥンガがしなければいけないことがあった。ネイマール不在時のセレソンのキャプテン選ぶことだった。
「代表メンバーには最高の選手を常に勘定に入れたいものだ。しかしこれはまた他の選手たちを利用する機会でもある。代表の中にはお手本となる能力を持っている選手は他にもいる。技術的なものではなく競争力を持ち合わせたリーダーを求めている」
そしてドゥンガが選んだキャプテンがセンターバックのミランダだった。
「とても落ち着いているし、彼の振る舞いはチームメイト全員から好かれている。そしていつもチームメイトを助けようという気持ちを持っている」