代表への視線。ライバルになる可能性も
充実した表情とともにアシストを振り返る関根に、取材の輪が解けたあとにひとつだけ聞いてみた。背番号「24」にふさわしいプレーができていると実感しているのか、と。
「うーん、まだまだじゃないですか」
予想通りの反応を示した関根は「ゴールが少ないので」という言葉も残している。今シーズンはここまで2ゴール。昨シーズンは6ゴールをあげているだけに、チャンスを作るだけでは満足できないのだろう。
生年月日が「1993年1月1日以降」という出場資格を有し、招集への待望論が常に沸きあがりながら、関根はリオデジャネイロ五輪に臨んだU-23日本代表のなかに居場所を築けなかった。
しかし、悔しさや無念さは振り返るためではなく、未来への糧にするために存在する。関根の視線はすでに原口と共演できる現時点で唯一の場所、年齢制限にとらわれないA代表の戦いへと向けられている。
「一緒に戦えればベストですよね。そこ(A代表)が目標ですけど、逆にいえばライバルになるのかな」
競い合う相手が強いほど燃える。いつか訪れると信じる“そのとき”を思い描きながら、「ライバル」という言葉に熱い想いを込めた関根に呼応するように、数時間後には原口もドイツの地で大暴れを演じる。
現地時間10日のインゴルシュタットとの第2節で、2つのアシストをマーク。チームの快勝に貢献して、フライブルクとの開幕戦に続いてリーグ公式サイトが選出するマン・オブ・ザ・マッチに輝いた。
それでも、到底満足できないのだろう。試合後に更新した自身のツイッターやインスタグラムで、原口はこんな言葉をつぶやいている。
「連勝。これを継続して、次はゴールを求めていきたい」
残り6試合となったセカンドステージ。サガンを蹴落としたレッズは勝ち点(25)と得失点差(+12)でフロンターレと並び、総得点で「4」及ばない2位でしっかりと追走している。
悲願の年間チャンピオン獲得へ。レッズの右サイドに君臨する167センチ、61キロの「小さな巨人」が放つ輝きが、ドイツから伝わってくる刺激を触媒としながらますます眩くなっていく。
(取材・文:藤江直人)
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