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Jリーグ 8年前

浦和・関根貴大、「24」番を背負い躍動。21歳のMFが追いかけてきた原口元気の背中

終盤戦に突入するセカンドステージで優勝争いを演じている浦和レッズを、ひときわ眩しい輝きを放つドリブラーがけん引している。167センチ、61キロのチーム最小兵にしてレギュラーでは最年の21歳、MF関根貴大はハリルジャパンと3シーズン目を迎えたヘルタ・ベルリンで大ブレークの予感を漂わせている永遠のヒーロー、FW原口元気の背中を追いかけながら、成長への階段を駆けあがっている。(取材・文:藤江直人)

text by 藤江直人 photo by Getty Images

「相手が強ければ強いほど、思い切って仕掛けていける」

浦和レッズの関根貴大
浦和レッズの関根貴大【写真:Getty Images】

 自陣から仕掛けたドリブルでボールを前へ運び、センターサークル内で利き足の左足を振り抜いた瞬間、浦和レッズのボランチ・柏木陽介はミスを犯したと天を仰ぎかけた。

 30メートルを超えるロングパスの標的は右ワイドの関根貴大。右タッチライン際から真横へダッシュし、柏木がパスを放った刹那に右へ90度旋回した背番号「24」は、ペナルティーエリア内を目指していた。

 サガン鳥栖をホームの埼玉スタジアムに迎えた、10日のセカンドステージ第11節。ともに無得点で迎えた前半41分に試合は大きく動きかけたが、左足のインサイドに引っかかりすぎたのか、柏木のパスは右タッチライン方向へ大きくずれてしまう。

「オレがボールをもったら誰かが動き出す、というのがあるんだけど。言うたらパスはもっと丁寧に出さないといけない。今日はちょっとパスの質が低すぎた」

 試合後の取材エリアで、柏木は苦笑いしながら自身のパフォーマンスに首を傾げた。もっとも、覚悟したミスを帳消しにするどころか、ゴールにまで結びつける関根のスーパープレーが直後に飛び出す。

 スプリントする軌道をさらに右へと変えた関根は、コーナーフラッグ付近でボールに追いつく。そして、反転から素早く切り返す、流れるような動きで背後に迫ってきていたMF福田晃斗を置き去りにする。

 このとき、ボールが大きく前へこぼれてしまう。第二の刺客、DF吉田豊にすかさず間合いを詰められ、目の前に体を入れられたとき、関根は無意識のうちに自身の“勝負哲学”を実践していた。

「取られたら取り返せばいい、というのが常に自分のなかにある。1対1の場面で、抜くか、ボールを取られるかというのがシンプルで見ていて楽しいだろうし、僕自身もやっていて楽しい。それに、相手が強ければ強いほど、思い切ってどんどん仕掛けていけるので」

 ボールを収めようとする吉田の右側に生じた、わずかな隙を見逃さなかった。金崎夢生(鹿島アントラーズ)や小林悠(川崎フロンターレ)といったストライカーたちを沈黙させてきた猛者の背後から、素早く回り込んでは再び体を入れ替えた関根は、次の瞬間、必死に右足のつま先をボールにヒットさせる。

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