ベンゼマ復帰問題。デシャン監督の選択は?
もうひとつは、ベンゼマ復帰問題。
ゴールが揺れないと、ベンゼマコールが復活する。いや、3点をとったイタリア戦でも、ジルーに対して、会場となったバーリまで駆けつけたレ・ブルーのサポーターから「ベンゼマ!」コールが浴びせられた。
「アンチ・ジルーではなく、ベンゼマシンパの行動だろう。僕は彼の現在の処遇(スキャンダル&謹慎)には直接なにも関わっていないから嫌われる理由もないし……」と大人な回答をしたジルーだが、彼にしてもジニャックにしても、「ベンゼマにポジションを奪い返されるという不安は?」という質問を浴びせられるのは、避けられないことになっている。
FFF(フランスサッカー連盟)のル・グラエ会長は「ベンゼマを生涯謹慎にする気はない。すべてはデシャン監督の意向次第」と指揮官の裁量に任せている。例のヴァルビュエナのセックステープ事件がまだ法的には解決していないため、こちらが決着した後、おそらくこのW杯予選中にはベンゼマは招集可能な身の上となるはずだ。
そのときにデシャン監督はどのような選択をするのか。
ベンゼマの加入=レ・ブルーの決定力アップにつながる保証はどこにもないが、ゴールのない試合があれば、単純にレアル・マドリーのストライカーを望むシュプレヒコールが高まる。ベンゼマが謹慎になった後、ジルーは2016年に入ってからの6試合で8得点をあげている(うちEUROで3点)が、それでも“レ・ブルーの主砲”にはなりえていない。
実際、地元記者の中にも「良い選手だがカリスマがない」と、ジルーに疑問符をつける人は多い(まったく個人的な印象だが、フランス人の男性記者はイケメン選手に評価が厳しい気がする……)。常に「エース不在の穴埋め」的なプレッシャーにさらされながらプレーするのは、心理的にも厳しいはずだ。