イニエスタのサッカー観「予測不可能なものだと捉えている」
ビッグ・サムはルーニーへの指示を躊躇しているようだが、ハリルホジッチには香川に遠慮する様子があるわけではない。先日のタイ戦ではたびたび背番号10を掴まえては自分の意図を伝えようとしていた。
だが、香川にとってはそれが正解ではないようだ。指示やアドバイスを増やして考えさせるのではなく、逆にそういったものから解放してやるべきなのかもしれない。彼に完全なる自由を与えるのか、あるいはチームから完全に外してしまうかのどちらかだ。
アンドレス・イニエスタが最近『ガーディアン』のシド・ロウ氏に語ったインタビューは興味深いものだった。自身のプレースタイルや、バルセロナとスペイン代表がいかにして多くの成功を勝ち得たかについて彼は語っていた。現在の香川が抱える問題を踏まえると、その中でも特に1つの言葉が印象的に感じられる。
「ほとんどのものは、自分の内側からやってくる。本能的なものだ。それが僕という選手なんだ。戦略や戦術というものも存在するが、僕はサッカーを予測不可能なものだと捉えている。1000分の1秒で決断を下さなければならないからだ。
ボールが近づいてきて、背後に相手選手がいる時に、『左に行くか右に行くか?』などと考えているわけじゃない。ただ行動して、うまくいくだけだ。…時々は、うまくいかないこともあるけどね」
香川にとっては残念なことに、その「時々うまくいかない」場面は、うまくいく場面よりもはるかに頻出している。イニエスタのように直感的にプレーするのではなく、あらかじめ頭の中で用意した筋書き通りにプレーしようとしていることに原因があるのはほぼ間違いなさそうだ。
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