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レスターの補強方針はブレたか? 敏腕スカウト長は退団も…クラブに受け継がれたリクルート戦略

text by Kozo Matsuzawa / 松澤浩三 photo by Getty Images

受け継がれるウォルシュのリクルート戦略

 その後任者の一人がヘッド・オブ・テクニカル・スカウティングの肩書を持つオリー・ウォルドロンだ。今年初めにアーセナルに引き抜かれたベン・リグルスワースの後任として、ウォルシュの参謀役を務めてきた。潜在的な獲得ターゲットのプロファイリングや、実際のスカウティングも担当してきた男だ。

 タレントの見極めの才覚に優れたウォルシュほどの経験はなく、現状では実力は証明されてはいない。とはいえ、2015年3月にウォルシュが直々に連れてきた人材で、今後は新たに加わるとされるウォルシュの後釜とともに、ウォルドロンはクラブのリクルート部門をけん引していくことが期待されている。

 またそのウォルシュの後釜探しは、ここに来て佳境を迎えているようだ。8月上旬には、レスターがトッテナムのヘッド・オブ・リクルートメントであるポール・ミッチェル氏の獲得に動いているとの報道があった。

 これについて馴染みのレスター番記者の一人に確認したところ、「移籍市場も終了したから、今後進展していくはず」と教えてくれた。その一方で、今月5日にはリバプールやバレンシア、フィオレンティーナ、オリンピアコスでスポーティング・ディレクターを務めたエドゥアルド・マシア氏の名前が浮上。「近日中にも契約を済ませるはず」との報道も出ている。
(※編注:本原稿執筆後の現地時間12日にクラブがマシア氏との合意を発表)

 過去8シーズンにわたりレスターの移籍市場をコントロールしてきたスカウト長は、5月に契約延長をしたばかりだった。だが7月の移籍市場真っただ中に突然いなくなり、軌道修正が必要になった。

 それでも、ウォルシュのエバートン移籍が決まった際にクラウディオ・ラニエリ監督が「もし私がいなくなっても、選手がいなくなったとしても、常にサッカーは続いていく」と話したとおり、クラブより大きな人間は存在しないのである。

 昨季の信じがたいサクセスにより、今夏のレスターは異常な状況にあった。またチャンピオンズリーグという未知の世界との二足の草鞋を履かなくてはならず、元々層の薄いスカッドの強化は絶対不可欠だったのである。これまで以上に積極補強が必要となっただけだった。

 だから補強方針がブレたかと言われても、それに同意はできない。少なくとも、今夏の移籍市場ではそれは起こってはいない。

(取材・文:Kozo Matsuzawa / 松澤浩三【イングランド】)

【了】

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