一夏で3度のクラブ移籍金記録を更新。高騰する近年のプレミアリーグ市場
さらに現在、莫大な放映権料を受け取ったこのリーグは、尋常でないインフレの状況に陥っている。プレミアリーグに所属する上位クラブが安く選手を買うこと自体が困難になっているのである。
マンチェスター・ユナイテッドがポール・ポグバ獲得のためにユベントスに支払ったのは、8900万ポンドといわれている。エバートンはジョン・ストーンズ売却で、4750万ポンドもの大金を手に入れた。どちらも特大の伸びしろを残す優秀な若手なのは間違いないが、プレミアリーグ以外であればこれほどの額が支払われることはなかったはずだ。
それ以外にも、レロイ・サネ(3700万ポンド)、グラニト・ジャカ、シュコドラン・ムスタフィ(ともに3500万ポンド)、サディオ・マネ(3400万ポンド)など、プレミアリーグの各クラブが選手獲得に投じた額は信じがたいものだった。
話をレスターに戻そう。確かに今夏のレスターの補強は、一見すると乱獲のようにも映る。それは昨季と比較すると分かりやすい。2015/16シーズンにレスターが1選手獲得のために支払った最高額は、マインツから岡崎慎司を獲得した際の700万ポンドだ。
また昨季の夏冬2度の移籍市場で獲得した選手は全部で9人(無償で獲得したクリスティアン・フックス含む)だったが、1年間で投入された合計金額は約3500万ポンドである。
一方、今夏はまず7月上旬にナンパリス・メンディ獲得に1300万ポンドを費やすと、その数日後にはCSKAモスクワからアフメド・ムサを1700万ポンドで獲得。さらに移籍期限終了間際の先月31日には、2900万ポンドの大金を叩いてアルジェリア代表のイスラム・スリマニで前線を再び補強した。
ひと夏の間に、移籍金のクラブ史上最高額が3度にわたり更新されたのである。加えて、新加入の6選手の獲得に要した支払総額は、夏の市場が終了しただけの現時点ですでに昨季の倍近い6850万ポンド。これだけを見れば乱獲のように思われても仕方ないだろう。