ピークは「もう少し先。まだまだです」
――2016シーズン1stステージは、川崎フロンターレをラストスパートでまくって優勝。なんだ、やっぱり最後は鹿島かよと見慣れた風景を遠くから眺めました。
「最後のほうは他力でもあったので、自分たちは勝つしかないとはっきりしていましたね。勝てば何かが起こるのではないかと。優勝の懸かったゲームは独特の雰囲気があり、競っている川崎にも少なからずあるんだろうなと想像しながら」
――それでちゃんと結果を出し、きれいに6連勝で締めくくってしまうのが鹿島。昔から鹿島と対戦した選手の口から「やりづらさ」をよく聞くんです。相手を気持ちよくプレーさせないために、チームに根づいていることとは?
「まずは綿密なスカウティングが挙げられると思います。ゲームで肝となる部分をしっかり抑え、チーム全体で相手にやらせないように仕向ける。加えて、勝っている状況、負けている状況、それぞれの試合運びを全員の共通理解として持つこと」
――スカウティングの情報を、適切にピッチに落とし込む。
「体現できるかどうかという問題もありますよね。せっかく落とし込んでも試合で出せなかったら意味がない。鹿島がそれを可能にする選手をそろえているということなのでは」
――2ndステージの手応えはいかがですか?
「失点が多く、なかなか結果を出せないゲームが続いています。1stでは失点の少なさが攻撃のリズムを生んでいたので、そこはチームとしてもう一度見直したいです」
――現在、山本選手は31歳。ぼちぼちベテラン扱いされる年頃に。
「自分ではベテランの域に入った感覚は一切ないんですが、フィールドでは上から2番目なんですよ。青木(剛/サガン鳥栖)さんがいなくなって、ついに僕が満男さんの次に」
――鹿島は若手の有望株が目白押しですもんねえ。
「めちゃくちゃ若い。23歳以下で十数人います」
――そうしているうちに貫禄が出てきたり。
「全然。見てわかりません?」
――地味にリーダーシップを発揮して。
「そういうのは大伍の得意分野」
――ベテラン扱いなんてゴメンだ。おれはおまえらより走れるぞと。
「そっちですね。ガンガン走れますから」
――プロ9年目、選手として脂がのり、ピークに差しかかっている実感は?
「もう少し先。あと2年くらいあとかな。まだまだです。これからです」
(取材・文:海江田哲朗)
【了】