中東メディアから解任が報じられた韓国代表のウリ・シュティーリケ監督【写真:Getty Images】
韓国サッカー協会(KFA)が、インターネットを騒がせたウリ・シュティーリケ監督の更迭報道を否定した。
この事実を確認すべく、筆者はKFA関係者に確認の電話をしたが出なかった。だが、KFAは午後2時、公式ツイッターを通じて「インターネットを騒がせたシュティーリケ監督の更迭説は事実無根」と報道を否認した。
ニュースが報じられたのは12日の午前。多数の中東メディアが「KFAがスイス人のクリスティアン・グロス氏と接触している」と報じ、韓国メディアでもこのニュースを伝え、一気にトップニュースとなった。
シュティーリケ監督の“後任候補”として名前が挙がったグロス氏は2014年7月にサウジアラビアのアル・アハリの監督に就任し、就任2年でリーグ2連覇を果たすなど実績を残しているが、解任後はフリーとなっている。しかしKFAが足早に報道を否認し、一段落したようだ。
もちろんシュティーリケ監督に対する国内世論が決して良くないというのは確かだ。コンディションがいいKリーグ勢の先発はほぼなく、出場機会に恵まれていない欧州組や中東、中国リーグでプレーする選手の先発が多すぎるという批判に直面している。
またロシアワールドカップ最終予選の2試合で、格下とされる中国とシリアに期待を下回るパフォーマンスを露呈。シュティーリケ監督の選手の固執を責める声も上がってきた。
とはいっても解任は時期尚早だ。だとすると今回の報道の発信源はどこなのだろうか。それは、グロス氏の代理人である可能性が高い。中東勢の監督が自分の年俸交渉を有利な方向にするため、よく使う方法だという。
韓国やドイツを舞台に活躍する某代理人は「代表監督として名前が挙げられるだけで監督の履歴にする。交渉を有利に持ち込める」と言う。実際どうかはわからないが、過去にも実際にそういう事例がある。
セネガルや中東で指揮歴が長かった故ブルーノ・メツ氏がその例だ。2004年、韓国代表への就任が当確とされていたメツ氏だが、代理人が韓国代表との交渉を公にし、年俸の金額が少ないとして交渉を決裂している。
彼の代理人は当時「メツ監督に韓国代表からのオファーがあったのは事実。しかしスペインリーグに行くかもしれないし、チームからもオファーがある」と『ガルフニュース』にコメントしている。彼は交渉決裂後にもアル・アインに残留していた。
このことから、シュティーリケ監督の解任報道もグロス氏の代理人発信であることは否定できない。ひとまずは解任騒動が鎮静化したシュティーリケ監督だが、韓国代表はグループ3位につけており、ワールドカップ出場に向けて厳しい立場にあることは変わりない。
(取材・文:キム・ドンヒョン【城南】)
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