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【西部の目】ペップ・シティ、未完成もプレミア仕様の片鱗見せる。マンチェスターの赤と青、新章の幕開け

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

まだはっきりしていないメインとなる武器

高くバウンドしたボールを鋭い弾道で叩き込んだイブラヒモビッチ
高くバウンドしたボールを鋭い弾道で叩き込んだイブラヒモビッチ【写真:Getty Images】

 バルサのときはメッシの「偽9番」が切り札だった。ウイングを高く張らせて相手のディフェンスラインを固定し、CFのメッシが下りる。メッシが「間」に入ったらチャビやイニエスタがすかさずパスを供給、あとはメッシの斜行ドリブルがフィニッシュへのスイッチになった。

 バイエルンでは、強力なウイング(リベリー、ロッベン、コマン、ドウグラス・コスタ)に勝負させるためにSBを中へ入れてウイングへのパスコースを開けた。ウイングが1対1からクロスボールを入れれば、それを得点に変えるスペシャリスト(レバンドフスキ、ミュラー)がいた。

 確保したボールをフィニッシュへつなげるためのルート、どんな武器をメインにするのかが、シティではまだはっきりしていない。

 ブラボのキャッチミスからイブラヒモビッチがボレーシュートを決め、ユナイテッドは1点を返して後半へ望みをつなぐ。何でもないシュートにみえるかもしれないが、イブラヒモビッチの足の可動域、股関節の柔らかさはさすがである。

 後半、モウリーニョ監督はラシュフォードを左ウイングに起用し、ルーニーを右に回す。ラッシュフォードのスピードとドリブルがシティ守備陣を脅かし、“ベッカム”となったルーニーからハイクロスが繰り出される。イブラヒモビッチ、ポグバ、フェライニの高さを生かしはじめる。怪物たちの個の力がシティを押し込んでいった。

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