本田は“走れない選手”ではない。指揮官も一定の評価
しかし本田はその後、右サイドにボールを集めてチャンスを作っていくのである。イニャツィオ・アバーテの動きと連動し、縦に走ってパスを引き出す。また左から組み立てられたチャンスについては、右から中央へと走り込みゴール前へと飛び出す。触りきれなかったが、39分にポーリのミドルパスに反応して前線に飛び出したランニングは、実に鋭いものだった。
決して走れない選手ではなく、スタッツを見ればスプリント自体はチーム上位であることも実は少なくない。そうして彼はスペースへと走り、縦にボールを運べなくなっていたチームの修正を図ろうとしていた。
そして競り合いの場面では、体を張ってチャンスを作ろうとする。後方からロングボールを呼び、空中戦に競り勝ってボールを落とす。パワープレーを通して敵陣深く攻め込んでいくプレーも、本田がアウトサイドとしてよくやるものだ。
49分には、ドリブルから再び1対1を仕掛ける。敏捷性で振りきれなくても粘り、競り合いの中でマーカーを弾き飛ばして裏へと出た。そして左足でスピードに乗ったクロスを放ち、前線のバッカへと通した。バッカがキープできずにシュートへと行けなかったのは残念だったが、短い時間で一つビッグチャンスは作った。
その直後には、アルメーロからボールを奪って縦への突破を仕掛け、ファウルを誘って相手に警告を喰らわせている。試合後、「彼にはサイドで1対1を仕掛けるように指示した」と記者会見で明かしたモンテッラ監督は、本田について「良いインパクトはもたらしてくれたと言いたい」と語っていた。