ライプツィヒの戦術で分かったBVBの弱点
特にライプツィヒは高いパス成功率を誇るバイグルを厳重にマークした。中盤の底の“パスマシーン”を抑えられて、例えばサイドチェンジからの1対1を活用して、局面を打開することもできなかった。
苦しむドルトムントを尻目にライプツィヒは、前半から鋭いカウンターを繰り出していく。そして試合の終盤が近づいても動きは衰えない。77分にはシュメルツァーがボールを奪われると、ヴェルナーに1人でシュートまで持って行かれる。
89分、バルトラのクリアボールを拾われると、素早く縦に繋がれて右サイドを崩される。ビュルケの折り返しをケイタにダイレクトで決められた。0-1。ライプツィヒの狙い通りのショートカウンターで、ドルトムントは敗北した。
ゲッツェがインパクトを残せなかったことを踏まえれば、ドルトムントのトップ下争いは、依然として香川がリードしていると言えそうだ。ゲッツェが90分間フル出場できるコンディションと試合勘を取り戻し、周囲とコンビネーションを確立するまでには、まだ時間が掛かるだろう。
もっとも、香川が出場していればライプツィヒ戦に勝利することができた、とも言い切れない。香川がトップ下に入っていたとしても、バイタルを固く閉ざすライプツィヒの守備には、相当に苦しんだのではないだろうか。
そうしてトップ下を抑えられ、さらにボランチでビルドアップの重要な役割を担うバイグルも抑えられると、ドルトムントは手詰まりになってしまう。
ゲッツェの試運転に失敗したように、新戦力の融合にもうしばらく時間が必要のようだ。
さらには、ビルドアップの方法に変化をつけるといった、戦術に何か手を加えることも必要かもしれない。
まだまだドルトムントが未完成であることを示した、ライプツィヒ戦だった。
(取材・文:本田千尋)
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