日本代表での痛恨のミス
しばらくは、控えの立場からチャンスをうかがうという境遇に変化はない。さらに移籍市場の終了間際には、チリ代表のマティアス・フェルナンデスという新たなライバルも加入してきた。モンテッラ監督がフィオレンティーナにいた時代に重用された選手で、スタメンを張るほどではなかったが、中盤はほぼすべてのポジションで使われた便利屋だ。
フェルナンデスは今回の代表招集で肉離れを起こして帰ってきたので少なくとも2週間の戦線離脱が決まった。しかし、彼の存在により、本田は途中出場の機会も限定されることになるかもしれない。
苦境は明らかだが、アピールしていくほかはない。ウディネーゼ戦で途中交代する場合、持ち味を示すことはできるのか。パターンとして考えられるのは、スソが疲労した際にそのまま右ウイング起用。またモンテッラ監督は4-4-2もテストしているというが、試合展開によっては先にトップの枚数を増やした上で右のサイドハーフに本田、というパターンもあるかもしれない。
いずれにせよ、戦術理解やゴール前での結果という点で先行しているライバルに対し、どう自分の利点をアピールするのか。その意味でもアジア最終予選タイ戦で、浅野琢磨の左からの折り返しはきっちりと決めて帰って欲しかったが、過去を問うても始まらない。
とにかく、攻守両面でしっかり球際に喰らい付き、戦術を意識して展開を動かすことができるかどうか。昨季一度ポジションから落ちた時でも、短い時間でそういった実直性を示したことが定位置奪回につながった。モンテッラとシニシャ・ミハイロビッチ前監督では評価のしどころは当然違うと思うが、まずは戦う姿勢を見せてもらいたいものだ。
(取材・文:神尾光臣【ミラノ】)
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