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リバプール、クロップ勝負の2季目へ。フィロソフィの体現者が集結、戦力外通告も容赦なし【欧州主要クラブ補強診断】

シリーズ:16/17欧州主要クラブ補強診断 text by 編集部 photo by Getty Images

今シーズンの展望

クロップ
リバプールでの2シーズン目を迎えるユルゲン・クロップ監督【写真:Getty Images】

 ユルゲン・クロップ体制2シーズン目の今季は勝負の年でもある。ブレンダン・ロジャース前監督の退任にともなっていきなりチームを託された指揮官は自らのフィロソフィを選手たちに叩き込んだが、いまだ成果が出ているとは言えない。

 というのも、試合後とのパフォーマンスの波が激しく、連勝したかと思えばいきなり勝てなくなる時期もあるなど勢いに乗り切れなかった。選手たちは90分間絶え間なく要求されるハードワークに疲弊してしまい、ラスト5試合で一度しか勝てず8位どまり。欧州カップ戦の出場権を勝ち取れなかった。

 クロップ監督は今夏の移籍市場で自らの戦術に合わない戦力に若手ベテラン問わず容赦なく戦力外を言い渡して放出し、要所にフィロソフィを体現できると見込んだプレーヤーを補強した。新戦力たちはイングランドでのプレー経験があるか、ドイツに縁のある選手で固められており、チームへの順応スピードまでしっかりと計算されている。

 ヨーロッパのカップ戦に出場しないため、1週間に1試合のペースでしっかりと腰を据えてリーグ戦に専念できる環境が整い、指揮官の希望通りの選手を揃えたチームで今季も低迷するようなことがあればリバプールにとっては一大事だろう。もちろんクロップ監督の首も危うくなる。

 懸念点はケニー・ダルグリッシュ監督時代に整備され、優秀な選手たちを輩出し続けていたアカデミーが再び崩壊の危機に瀕していることだ。クロップ監督は自分のやり方に合わなければ若手だろうと構わずクラブから追い出してしまった。国内屈指の有望株が揃っていた下部組織出身選手の枯渇につながりかねない。

 リバプールは長期的な強化プランに基づいてクロップ監督にチームを託し改革を進めているが、あまりにドラスティックな変化に選手たちがついていけなければそれらはすべて机上の空論になってしまう。

 リーグ開幕戦はなんとか勝利を収めたものの、その後は昇格組に敗れるなど勝ちがない。唯一の勝利だったアーセナル戦も3失点を喫するなど課題は山積みだ。新戦力の多くはすでに主力として起用されており、開幕の出遅れを取り戻すには彼らの活躍がカギを握りそうだ。

 おそらく今季の戦い方を定める過程においてクロップ監督が唯一決めかねているのが最前線のポジションだろう。試合に出ればゴールを奪うものの負傷のリスクが高いダニエル・スターリッジか、得点力こそ劣るものの耐久力があり幅広い役割をこなせるロベルト・フィルミーノか。2人のどちらにエースを任せるかによってチーム戦術の組み立て方と到達点が変わってくる。

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