決定機はハイクロスから。空中戦に強い選手も必要か
タイがまともに守れていた前半の決定機は5回、ハイクロスからの原口元気のゴールのほかには、やはり酒井宏樹のハイクロスを本田圭佑がヘディングシュートしたシーンが惜しかった。ただ、相手のDFがもう少し空中戦に強かったら、はね返されていたかもしれない。次回からは中央に空中戦に強いFWを招集したほうがいいのではないか。
UAE、タイとの2試合で日本の決定機はほとんどサイドからのクロスボールだった。ロークロスもあるが、多くはハイクロスである。しかし、競り勝てそうなFWが本田ぐらいしかいない。日本の攻撃にハイクロスのイメージは薄いが、現実的にそうなっているのだからゴール前の高さと強さを増強したほうが効率はいい。本田もサイドで消耗させるより、中央で起用したほうがいいかもしれない。
最終予選の鍵は守備を固める相手からいかに得点するかだと思っていたが、どうやらそうではないようだ。基本的にはロースコア、いかに僅差の勝負を制するかという試合になっている。
まずは相手の攻撃を防ぐこと。ボールポゼッションの優位性を生かして、相手に攻撃の機会をなるべく与えない。カウンターアタックを未然に防ぐために守備への切り替えを早くする、カウンターリスクの高い中央突破に固執しない、絶対に中盤を空けない、自陣でのリスクは避ける、相手の重要な攻め手には万全を期して臨む……相手のチャンスをゼロに近づけることに注力すべきだ。やるべきことはタイ戦の延長にある。
日本のフィニッシュは確かに効率が悪いけれども1点とる力はある。1-0ないし2-1の勝利を目指して、あくまでも慎重に丁寧に戦って勝ち点を積み上げていきたい。
(文:西部謙司)
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