クラブと代表をリンクさせた原口。その姿に香川は何を思うのか
「もともと代表とクラブは違う。そこは割り切らなきゃいけないですし、クラブはクラブで求められるものは大きい。そこは自分が結果を出して証明していくしかない。ホントに前を見続けてやり続けるしか先はない」と香川はドルトムントとのスタイルとタスクの違いを要因に挙げていたが、ヘルタ・ベルリンと同じポジションでスタメン抜擢された原口は8月27日のフライブルク戦を彷彿させるアグレッシブさと打開力、突破力を色濃く示していて、香川のようなクラブと代表のギャップはあまり感じさせなかった。
原口は「攻撃でも守備でも走る部分は毎試合(ヘルタで)やっているので、自然に出せた。そこは伸びている部分。ドイツに帰ってこの運動量を減らさずにゴール前で仕事をすることは大変だけど、トライしたい」と2つのチームにおける自分をうまくリンクさせる手ごたえを感じつつあるようだ。
こうした後輩を見て、香川の方は「元気のことをすごく逞しく感じたし、ホントにチームのためにハードワークしていたし、攻守において起点になっていた。そういう姿勢は新たにチームに刺激を与えてくれた」と前向きに評価しつつも、自身には焦りをにじませた。
香川は原口の姿を目の当たりにして、どうすればドルトムントでの輝きを代表にももたらせるかを今一度、真剣に考えてみるべきではないか。彼はこの問題に5~6年間も直面し続けているが、抜本的な解決策を見出せていない。もちろん一緒にプレーしている仲間が違うから全く同じことはできないが、いいイメージを持ち込んで攻守のバランスを変えながら動く、流動的にポジションを動かすといった変化はつけられるはずだ。
“背番号10”の香川がもう一段階ステップアップできなければ、日本は今後の最終予選でも苦しみ続けるだろう。それを避けるためにも、彼にはまずドルトムントに戻って絶好調の自分を取り戻す必要がある。
「ゴールを取らない限り、(クラブで)試合に出続けることはムリですから。新たなメンバーも入って、彼らも着実に順応してきてるので激しい競争にもしっかり打ち勝って頑張りたい」と彼はブンデスリーガ、あるいはチャンピオンズリーグでの得点を第一に考えていくという。それを実践し、ゴールに集中し続けることが、苦境脱出の最大の近道かもしれない。
(取材・文:元川悦子【バンコク】)
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