相手への対策をしつつ、自分たちの持ち味を発揮せよ
4-2-3-1というシステムで、そうした幅とリズムのある攻撃を実現するには2列目の選手が良い距離感を取ることに加え、ボランチが速く正確なパスを彼らに付けていく必要がある。UAE戦をピッチ外から見守ることになった柏木陽介も「中と外の使い分けで、中、中、中でちょっと外、外みたいな感じだったので。やっぱり相手を揺さぶる攻撃ができれば、よりいい攻撃ができる」とイメージしており、そうした攻撃ビジョンをチームとして共有してタイ戦に臨んでいくはずだ。
ボランチの一角を担うキャプテンの長谷部誠は「タイというチーム全体に注意をしなければいけない」と前置きしながら「自分たちがいかにゲームをコントロールして試合運びをできるかが非常に大事なので。もちろん相手を研究して臨むことも重要ですけど、それよりも自分たちがどのようなメンタルで立ち向かうか」と意識を高める。
ハリルホジッチ監督は今回の2連戦に先立ち「日本代表のためのフットボールのアイデンティティ」なる資料を作成して選手にも配布したそうだ。今後も対戦相手のスカウティングに応じた対策や注意事項は欠かせない要素になるが、自分たちの持ち味というものを生かさずして継続的に勝点3を取りにいくことはできない。結果を求めながら、そうしたものを明確に思い越す試合にしていくべきだろう。
(取材・文:河治良幸【バンコク】)
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