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日本代表 8年前

「サッカーは芸術」。アーティスト・日比野克彦氏がマッチフラッグプロジェクトに込める想い【特別インタビュー】

text by ダン・オロウィッツ photo by Dan Orlowitz

「芸術に一番近いスポーツがサッカー」

日比野克彦
参加者とともにマッチフラッグを描く日比野克彦氏(写真中央)【写真:ダン・オロウィッツ】

ーーサッカーとアートをつなげるということですが、2つの間にはどんな関係があるのでしょうか?

 サッカーというスポーツはボール1個だけで、バットやラケットのような道具を使いません。さらに人間が一番器用に動かせる手を使ってはいけない。そうすると細かいテクニックよりは、音楽のように体が持っているリズム感が表に出てきます。

 だからヨーロッパや南米、アフリカなどにそれぞれ違ったサッカーがあって、文化や音楽と同じように、その地域の個性が一番反映されやすいスポーツだと思うんですよ。観客も音楽を聴くように「自分たちのサッカー」というものにこだわりますよね。なので、芸術に一番近いスポーツがサッカーだと考えています。

ーーサッカーにおいて、東南アジアと日本の関係をどのように考えていますか?

 東南アジアの国、たとえばタイやベトナムがアジア代表としてW杯に出場する時代もそう遠くはないとでしょう。そうなると日本もサッカーの実力でアジアを勝ち抜くのはすごく難しくなってくるだろうし、競争相手です。自分たちの国から一番近い国や地域が強くなるというのは、とても大事だと思っています。

ーー日本はアジア最終予選で厳しいスタートを切りました。タイ戦はどんな試合になると思いますか?

 ホームでスタジアムに行って応援するのも簡単にできるとは言えないけど、アウェイの地でこそ自分たちのナショナルチームを応援するのはとても大事なことで、タイのサポーターたちの大歓声の中で我々が旗を振って応援した時に、文化が重なる瞬間を感じると思う。試合は当然日本に勝って欲しいけれども、いつも考えるのはサッカーがあるからこうやってタイに来られた、サッカーチームに我々も連れてきてもらったということ。1つのスタジアムでタイと日本が一緒にサッカーをできることが幸せだと思う。

 なおかつ日本が勝てば幸せですし、勝たないといけないよね。でもいつかは日本にもW杯にいけない時が来るのではないでしょうか。どんなに強い国でも連続で出場するのは難しいことです。私にはいつかその時が来るだろうなという心構えはあります。もし日本がロシアW杯に出場できなくても、アジアの代表を応援しにロシアの大会には行きますよ。

(取材:ダン・オロウィッツ)

【了】

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