今シーズンの展望
ジョゼップ・グアルディオラ監督を迎えた今季は、タイトル獲得を目指しながら数年後を見据えたベース作りの1年となる。それは補強方針からも見てとれた。
まず、放出した選手のうち移籍金が発生したのはエディン・ジェコ(→ローマ、1100万ユーロ)、ヘロニモ・ルッジ(→レアル・ソシエダ、700万ユーロ)、フロリアン・ルジューヌ(→エイバル、150万ユーロ)の3人のみだった。
いずれもレンタル先からの契約満了で一度復帰した上で、改めて同じクラブまたは別のクラブに売却された選手たちだった。合計額は1950万ユーロ(約22億円)で、新戦力獲得のために支払った移籍金合計の10分の1にも満たない。
翻って新たに獲得した選手たちを見てみると、即戦力と有望株にバランス良く資金が投じられている。
即戦力としてはすでにリーグ戦で輝きを放っているノリートやジョン・ストーンズが挙げられ、グアルディオラ監督が獲得を熱望したクラウディオ・ブラーボも即レギュラーとしての活躍が期待される。イルカイ・ギュンドアンは負傷からの早期復帰が待たれるところだ。
彼らの加入で新指揮官が理想とするチームが完成しつつある。余剰戦力に関してはプレシーズンで猶予が与えられたものの、グアルディオラ監督を満足させられなかった数人が無情にも放出されてしまった。その中にはジョー・ハートのような昨季までの絶対的主力も含まれる。
EUROにも出場した19歳のオレクサンドル・ジンチェンコをはじめ、コロンビア人FWマルロス・モレーノやエネス・ウナル、ジェイソン・デナイヤーといった若手たちはレンタルに出され、試合経験を積むチャンスを与えられた。これは数年後を見据えたプランの一部だろう。
リオデジャネイロ五輪金メダルメンバーのブラジル人FWガブリエル・ジェズスや、シャルケから獲得したレロイ・ザネはシティに残って経験を積み、出番を待つ。これも数年後に主力を張ってほしいというグアルディオラ監督のプランだ。
昨季の主力はほぼ残留し、そこに新監督の求める新戦力が融合して国内でも欧州でもタイトルを争える陣容が整った。今季を足がかりに、数年かけてプレミアリーグで王朝を築くための計画も進んでいる。全てが順調にいけばあらゆるチームに恐れられる一団が出来上がるだろう。