今シーズンの展望
もはや暗黒時代が定着したミランは昨季セリエAで7位に終わったことで3季連続のUEFA大会(チャンピオンズリーグとヨーロッパリーグ)出場権獲得を失敗した。苦しい陣営で健闘していたシニシャ・ミハイロビッチ監督を解任して新米クリスティアン・ブロッキ監督に任せ、6位から7位に順位を落とした失態はクラブの混乱具合を表すには十分すぎる結果となった。
今年はミランにとっては移籍市場よりも中国資本によるクラブ買収がスポットライトを浴びる夏となった。当初7月中旬には決定するかと思われていたが、予想の通り交渉は難航を極めた。結局仮合意が結ばれたのは8月5日で、移籍市場への中華資本の投入は間に合わなかった。
クラブ買収の前に指揮官就任が決定したヴィンチェンツォ・モンテッラ監督だが、ミハイロビッチ前監督に比べて大きく格が上がるかといえばそんなことはない。それでも、モンテッラ監督がイタリア人であること、ミハイロビッチ監督とは違いインテルの人間ではなかったこと、そしてスペクタクルなパスサッカーを志向することでファンとメディアからは一定のサポートを得ることができそうだ。
一方で、日本代表FW本田圭佑の立場はますます厳しいものとなっている。モンテッラ監督が採用する4-3-3の布陣ではウイングには本田のバランス感覚ではなくスソやエムバイェ・ニアンの独力で局面を打開する能力が優先される。事実、本田はミラン開幕戦としては初めてトリノ戦で出番なしに終わっており、続く第2節ナポリ戦も出番なし。出場機会の激減は必至だ。
冬の移籍市場では“爆買い”によってさらなるライバル到来が予想されており、本田にとってはまさに正念場のシーズンとなりそうだ。
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