浅野拓磨【写真:Getty Images】
日本代表は4日、タイ・バンコク市内で6日のタイ代表戦に向けた練習を行った。
浅野拓磨は初戦のショックを引きずることなく、すでに気持ちを切り替えている。
UAE戦ではゴールを見逃されてしまった。ゴールラインは割っており、得点が認められるべきだったかもしれない。しっかりミートしていれば気持ちよくネットを揺らせていたのも事実だが、あの時、浅野はあるシーンが頭に浮かんだという。
「あの一瞬、前日のトレーニングで左足のシュートをふかしてしまったシーンが頭をよぎった。だから自分はふかすのではなく、まず枠に飛ばそうとあの一瞬の判断でプレーした。それが逆に弱いシュートになってしまった」
シュートを枠に飛ばさなければ得点は奪えない。結果はともかく、あの場面で浅野が瞬時に判断できたことは評価すべきだろう。それでも、ゴールが決まっていればこのストライカーの気持ちもさらに上昇したはずである。
「あそこで決めていれば、また自信を持って次の試合も、ミートしやすいメンタルに持っていけたのかなと思う。決められなかったのは自分の課題でしかないので、練習から意識してやっていくしかない」
タイとはU-23代表時代に対戦している。当時の印象について浅野は「一人ひとりの技術は高く、動きの速さや俊敏性というのはすごく高いものを持っている」と話す。タイは攻撃にタレントがいるため、そうした選手たちの特徴を封じ、しっかり潰すことが重要になる。
「ホームだし、勢いに乗らせたら一人ひとりがやりたいことをやってくる。そうなると、すごくいいチームになってしまうので、その前にしっかり潰すところを潰して僕らのペースに持っていければいいかなと」
決定機を外してしまったことが悔しくないはずはないが、浅野の表情は決して暗くない。
「僕は今までも決められなかったシーンはたくさんある。だからこそ『次は決める』という強い気持ちでやってきているので、めげることはない。周りに何を言われようと僕は自分の力を過信せず、それくらいの選手だと心に留めておきながら、次チャンスが来たら絶対決めるという気持ちで臨みたい」
ある意味、自身を過小評価しているとも受け取れるが、下を向くことなく常にゴールを目指すのが浅野の長所でもある。UAE戦の鬱憤を晴らすというモチベーションではなく、ストライカーの仕事をするという決意を持って、タイ戦に臨みたいところだ。
(取材:植田路生【バンコク】)
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