エゴイストとしてチームを牽引できるか
「予選で記憶あるのは97年しかないですね。まあ、プレッシャーはどの予選もあると思う。それが大きい小さいはあんまり関係ないし、あの時はあの時ですごくプレッシャーを感じたでしょうし。僕らも今はそうですし。
ただ、初戦黒星でも終わってみればたかが1敗でしょう。そんなに苦しいとは感じてない。タイ戦に向けた対策もすでに頭の中にはあります」と本人は語気を強めた。
であれば、キッチリとゴールを奪って、勝利という結果をもたらすしかない。タイはUAEほど手堅い守備ブロックを構築してくる相手でなく、彼らアタッカー陣のチャンスは少なくない。香川真司(ドルトムント)や岡崎慎司(レスター)とのコンビを見せられる場面も増えるだろう。
中田英寿、中村俊輔(横浜)といった代表エースたちは、苦しい時に必ず結果を出してきた。その系譜を継ぐ者として、本田はもう一回、ギラギラしたエゴイストぶりを取り戻すべきだ。
勝利や自身の成長のためなら周囲との摩擦や軋轢など厭わないくらいの気概を彼が押し出せば、チーム全体の目の色は確実に変わる。2014年ブラジルW杯以降、少し慎重派になりつつあった30歳のアタッカーの覚醒を今は強く求めたい。
(取材・文:元川悦子【バンコク】)
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