ビデオ判定の試験導入を見届けたジャンニ・インファンティノFIFA会長【写真:Getty Images】
現地時間1日に開催されたイタリア対フランスの国際親善試合で、ビデオアシスタントレフェリー(VAR)の試験導入が行われた。
VARはピッチ上の審判とは違い、室内試合映像をチェックしながら主審の要請に応じて微妙なプレーの判定を下す役割を担う。このビデオ判定の仕組みは2018年のロシアW杯での本格導入に向け、試験が進んでる段階だ。
これまではユナイテッド・サッカーリーグ(アメリカ3部)に試験導入されていたが、今後はヨーロッパ各国にも広がっていく予定になっている。今回は国際試合で初めてのVAR導入だった。
最初に活用されたのは試合開始直後の4分、フランス代表で初キャップを刻んだジブリル・シディベが、ダニエレ・デ・ロッシに対してファウルを犯したシーンだった。ここではビデオ判定の結果、シディベにはレッドカードではなくイエローカードがふさわしいと判断された。
さらに33分、フランス代表のDFレーヴァン・クルザワがハンドを犯したとして主審が笛を吹いた。しかし、この場面で審判団が協議してビデオ判定を要求すると、ボールが当たったのは太ももで、クルザワに反則はなかったことがわかり判定は覆った。
1試合で2度ビデオ判定が利用され、その様子を見守っていた国際サッカー連盟(FIFA)のジャンニ・インファンティノ会長は「非常に満足している。VARは審判たちを助け、試合を守った。我々はフットボールの歴史の新たなページに進んだ」と、FIFA公式サイトに対して語っている。
サッカー界のトップが満足感を示しただけでなく、試合を裁いたビョルン・カイペルス主審もビデオ判定に手応えを感じたようだ。英『テレグラフ』紙がコメントを伝えた。
「(最初の場面で)キエッリーニはすぐに『レッド!』と訴えてきた。そのシーンを見直してみると、VARは9秒から10秒でイエローカードで十分だと教えてくれた。選手たちもすぐに私の決断を受け入れてくれたよ」
「2度目の時、VARは7秒ほどでPKにすべきではないとアドバイスしてくれた。選手たちは再びすぐに受け入れてくれた。この選手たちからの信頼は私に自信を与えてくれた」
同じ日には日本対UAEでゴールをめぐる判定が話題になるなど、サッカーにテクノロジーを導入すべきかという議論は近年盛んになされている。ゴールラインテクノロジーやビデオ判定は、数年後にあらゆる会場で当たり前になっているかもしれない。
なおイタリア対フランスで活用されたVARは、今後アメリカ以外にイタリアやドイツなど6ヶ国での試験導入が決まっており、数年後の本格稼動を目標に有効性の検証などが進められていく。
【了】