流れを変える素質を持つ武藤
また、マインツの武藤嘉紀も流れを変えられる可能性を持った選手の1人だ。UAE戦は「今季は未だ90分間プレーしたことがない」という理由から出場機会が与えられなかったが、彼は1トップも2トップもこなすことができ先発もスーパーサブでも仕事ができる。その柔軟性と適応力は昨季から所属するマインツでも実証済みだ。確かにボスニア・ヘルツェゴビナ人指揮官が懸念する通り、コンディション面は気がかりな部分があるものの、既にドイツでゴールしている分、得点へのいい感触を体得できている。加えて前線からアグレッシブなプレスにも行けるということで、岡崎らとの2トップは十分に機能するはずだ。
武藤本人も「出たらアシストとゴール。それができれば日本にとっても絶対プラスになると思うので、出していければいい」とUAE戦前には静かな闘争心を燃やしていた。タイ戦は流れを変える意味でも武藤を起用する手はある。
UAE戦では川崎フロンターレのMFの大島僚太にボランチの先発の座を譲る形になったセレッソ大阪のMF山口蛍も「いつ行ってもいいような準備だけはしておきたい」と3月のシリア戦(埼玉)以来の復帰を期している。UAE戦ではサウサンプトンのDFの吉田麻也が「全体的にプレッシングがはまらなかった」と語っていたが、山口は「自分が出たらもう少しうまく行けた」と悔しさを吐露している。「もうちょっといい予測があれば、センターバックも早めに相手を潰せたかもしれないし、ボランチももっと早くサンドしにいけたというのはある」とも語っており、ボール奪取のスペシャリストとして守備再建の一翼を担おうとしているようだ。
こうしたバックアップ選手の台頭がなければ、東南アジアへの強行移動の伴う中4日の対戦で確実に勝ち点3を奪える保証はない。UAE戦でこれまでの主力が不発に終わったからこそ、控えと先発を行き来している面々にとっては大きなチャンスだ。この機を逃さず、確実に結果を出して、チームを崖っぷちの状態から救い出してほしい。彼らが本田の苦言に全力で応える姿をぜひとも見てみたい。
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