今シーズンの展望
FAカップを制覇したものの、スタイルを構築できず退屈なサッカーに終始したルイス・ファン・ハールを解任し、ジョゼ・モウリーニョを招聘したマンチェスター・ユナイテッド。”神”ズラタン・イブラヒモビッチの活躍もあり、開幕から3連勝。昨年までオールド・トラッフォードを覆っていた重たい空気は取り払われた。
昨年までは「パスを繋ぐ」ということが第一優先となり、攻撃は停滞気味になっていたが、イブラヒモビッチの個の力、ポグバのミドルレンジのくさびのパス、ルーク・ショーとアントニオ・バレンシアの両SBのオーバーラップなど様々な攻撃バリエーションが加わった。
ベンチにはマーカス・ラッシュフォードの他、ヘンリク・ムヒタリアンやアンデル・エレーラといった変化を加えられる選手が控える。
モウリーニョ自身にも変化が見られる。フィジカルやスプリント能力に優れた選手を重用し、若手選手をあまり好まないと言われていたが、ダレイ・ブリントやチェルシー時代には放出したフアン・マタをスタメンで起用。CBにも21歳のエリック・バイリー、18歳のラッシュフォードは後半の切り札として扱われている。
1年目からモウリーニョの目標はリーグ優勝だ。「マンチェスター・ユナイテッドは4位でチャンピオンズリーグ出場権を得て満足するクラブではない」とシーズン前に語っている。
そのためにも、シーズン序盤の7500マイルの移動とトルコ、ウクライナ遠征を控えるヨーロッパリーグのグループステージを乗り切りたい。チェルシー時代からメンバーをあまりいじらないモウリーニョであったが、上述のように変化が見られている。若手やベテラン、出番の少ない選手たちをマネージメントしながら、クリスマスを迎えることができれば、1年目からのリーグ優勝は達成できる。
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