最悪のシナリオを避けるために
5大会連続でW杯出場を果たし、欧州リーグでタイトルを取るようなクラブでプレーする選手が複数いる国が、アジアで再びチャレンジャーになろうというのは難しいことかもしれない。
が、この日が初キャップだった大島や途中出場した浅野拓磨(シュツットガルト)らのリオデジャネイロ五輪世代は、最終予選を突破するまでは長年アジアで勝てなかった。彼らの一世代上の清武弘嗣(セビージャ)らロンドン五輪世代も余裕でアジアを勝ち抜いたわけではない。そういう苦悶の歴史を思い出して、メンタル面で原点回帰を図るところから始めないと、今回の日本代表は致命傷を負いかねない。
最悪のシナリオを避けるためにも、まずは今回の敗戦にきちんと向き合い、負の連鎖を断ち切ることが肝要だ。本田が「状況に応じてどういう戦い方をするかは、監督に指示されなくても、現場が判断していくこと」と選手側の自主性の重要性を強調したように、1人ひとりが意識をはっきりと変えるところから、日本代表の巻き返しが始まる。
自分たちと対戦相手に真剣に向き合うことができるか。UAEには二度負けた。これが本当の実力で、アジアでも日本は挑戦者である。次のタイ戦では同じ轍を踏んではならない。
(取材・文:元川悦子)
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