UAE戦に出場すれば、Aマッチ100キャップに
チームの攻守両面を司る長谷部の影響力は絶大だ。32歳になった今、彼はそれだけの大きな器を身に着けている。前回最終予選からの4年間だけを振り返っても、12/13シーズン序盤はフェリックス・マガト監督率いるヴォルフスブルクでベンチ外の日々を味わい、2013年夏に移籍したニュルンベルクでは2部降格と大ケガを強いられた。
2014年夏からプレーするフランクフルトでも左右のサイドバックにサイドハーフなど多彩なポジションを託されてきた。が、ニコ・コバチ監督体制の今季はようやく本職のボランチに固定され、プレーの幅を広げることができている。
こうして数々の修羅場をくぐった末にクラブでベストな環境を得た経験は、今回の最終予選でもきっと役立つはずだ。
ジーコジャパン時代の2006年2月のアメリカ戦(サンフランシスコ)で初キャップを踏み出してから足掛け11年。UAE戦では記念すべき代表100試合目を迎える。
「とにかく個人的なことよりチームとして勝ち点3を取ることに集中している。とにかく先制点がカギになってくるので、できるだけ早く取りたいのが正直な気持ちです」と語る長谷部。メモリアルマッチでも普段と変わらず、最重要課題を常に忘れないのは何とも彼らしい。
ロシアW杯とその予選は長谷部にとって代表キャリアの集大成となるだろう。その第一歩となるUAE戦は準備時間も少なく、負傷者も出た。こうしたネガティブな要素はサッカーにはつきものだが、経験豊富な長谷部は乗り越える術を知っている。
異様な緊張感のなか行われるUAE戦。主将が積み重ねてきた100試合の重みは、チームを支える重しとなるはずだ。
(取材・文:元川悦子)
【了】