最も警戒が必要なのはオマルだが…
もっともハリルがマブフートにも負けず劣らず高い決定力を誇ることは代表戦において、試合数の半数以上の得点を叩き出している事実が物語る。
その得点パターンはスルーパスよりもクロスに合わせる形が多く、GKがシュートを弾いたリバウンドを押し込む、あるいはセカンドボールを拾った選手からのリターンパスに合わせるなど、力強く泥臭いゴールが多い。その意味でもゴール前でハリルから目を話したら命取りだ。
もう1人の要注意選手がボランチのアメル・アブドゥラフマンだ。中盤で攻守のバランスを取りながら、オマルを的確にサポートしてボールを動かしながら、機を見て正確なロングパスを前線に通す。右足のCKや間接的なFKのキッカーも担うアメル。ボールのキープ力や一瞬の創造性こそオマルに譲るが、パスの精度は引けを取らないレベルにある。
一番危険なのはオマルに意識が行き過ぎて、アメルの前方を空けてしまうことだ。オマルが中央に流れればボランチが厳しくチェックに行かざるをえないが、その結果としてアメルが自由にボールを持てる状況が生まれやすいのは二次予選でも、1つの傾向として見て取れた。
アメルの基本ポジションはボランチなので、常にプレッシャーをかけ続けることは難しいが、ノープレッシャーで前線にパスを通せる状況にしないように気をつける必要がある。
繰り返しになるが、最も警戒が必要なのはオマル・アブドゥラフマンだ。ただ、対戦相手はピッチに11人おり、UAEはアジアの中でトップクラスの攻撃タレントを揃えている。オマルだけ注意して抑えられる相手ではない。特に危険な選手がオマルを含めて4人おり、全体的にプレッシャーをかけていく中でも注意を怠らないようにしなければならない。
(取材・文:河治良幸、映像・データ提供:Wyscout)
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