中盤の底に配球役がいないセビージャ
いずれにしろ、ミッドウィークにモナコとCLプレーオフを戦うというハンデを負ったホームチームが、セビージャよりも激しく組織的なプレッシングを仕掛け、攻撃も機能させていたことに変わりはない。
ただS・リコという守護神の存在によって、勝利を逃した格好だった。フットボールは常にフィエスタ(祭り)となるわけではないが、サンパオリのチームとて例外ではないようだ。それどころか、エスパニョール戦で見せつけた守備の綻びを縫い合わせないまま、最大の特徴であった攻撃的な姿勢もかき消えた。
清武については、セビージャの記者仲間はこの試合で酷いプレーを見せた一人、もしくは最も最低な選手だったと話している。ただし、中盤の底に下がってボールを受け、攻撃を構築するのは清武が務めるべき役割ではないように映る(スティーブン・エンゾンジと並列して守備を行う際には、フィジカルコンタクトで通用しない場面も多々あった)。
本来の彼は、もう少し前めの位置で連係プレーを見せてこそ輝けるのではないか。問題はマティアス・クラネビッテルが期待に応えられていない現在のセビージャに、中盤の底での配球役がいないことにあると思える。
インターナショナルウィークを挟んだ後、セビージャは本拠地サンチェス・ピスファンに現在リーガで首位を走るラス・パルマスを迎える。こちらは堅実なビジャレアルと違い攻撃サッカーを信条とするチームだが、ピスファンはエスパニョール戦のようなフィエスタを再び催すことになるのだろうか。
(取材・文:ロシオ・ゲバラ【セビージャ/マルカ】)
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