Jクラブアカデミーの格付けも進行中
すでにクラブ単位では、Jリーグがベルギーのダブルパス社と契約して、J1およびJ2の計40クラブのアカデミー組織を格付けする作業「フットパス」が昨年秋から導入している。
まずはガンバなど育成に定評のあるクラブのアカデミーが対象となったが、村井チェアマンは「世界とのギャップを認識するどころか、ギャップの存在すら知らないキーワードがあった」と苦笑いする。
「ガンバに関してはある程度の自信があったのですが、オーナーシップという観点で0点とされたときには『それは何ですか』と聞いてしまいました。たとえば90分間の練習を行う場合、明日の試合を想定して『こういう練習をしませんか』と選手たちからメニューを提案する時間が何パーセントかを測るものだと。オーナーシップという概念そのものがない現実に、戸惑うばかりでした」
昨シーズン終了後の第1弾に続いて発行された『J.LEAGUE PUB Report』は、Jリーグのオン・ザ・ピッチ、オフ・ザ・ピッチの両面から世界との差を測った調査リポート。村井チェアマンによれば「Jリーグにとって都合の悪いことも、ふんだんに盛り込まれている」という。
世界とのギャップを覆い隠すことなく公表したうえで、ギャップが生じた原因を追究し、それらを埋めるための方策を講じる道筋をつける。進行中の「フットパス」を含めてまだ第1段階となるが、4年後の東京五輪だけを見すえれば、村井チェアマンは再び危機感を口にする。
「待ったなしの状況だと思っています」
特にYBCルヴァンカップを改革するには、11月までには各方面との調整を終える必要があるだろう。鉄は熱いうちに打て――を合言葉に、9月の実行委員会および理事会で、Jリーグとしてできる育成改革を徹底的に議論していく。
(取材・文:藤江直人)
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