リオ五輪は「Jリーグそのものの敗戦だった」
笑顔なき勝者たちの姿が、いまも脳裏に焼きついて離れない。ブラジル時間の2016年8月10日。Jリーグの村井満チェアマンは、サルバドルのフォンチノバ・アリーナにいた。
原博実副理事長とともに観戦したのは、手倉森ジャパンが臨んだリオデジャネイロ五輪のグループリーグ最終戦。スウェーデン五輪代表を1-0で破った日本は、しかし、同時刻に行われた試合で勝利したコロンビア五輪代表の後塵を拝する形でヒノキ舞台を去ることを余儀なくされた。
4-5で敗れたナイジェリア五輪代表との初戦で、失点をひとつでも防いでいたら。あるいは、2点のビハインドから引き分けたコロンビアとの第2戦で、勢いに乗ったまま逆転していたら。1ゴールにもたらされる重みを噛みしめたとき、痛感させられたのは想像以上に開いている世界との差だった。
25日に東京・文京区のJFAハウスで行われた、『2016 J.LEAGUE PUB Report』発行に伴うブリーフィングで登壇した村井チェアマンは「原さんと2人で、しばらくは席を立てなかった」と振り返る。
「今回の戦績を見るに、手倉森誠監督のさい配や選手たちのパフォーマンスよりも、Jリーグそのものの敗戦だったと私は考えています」
手倉森ジャパンに名前を連ねた18人のうち、ザルツブルクでプレーするMF南野拓実とオーバーエイジで招集されたDF塩谷司(サンフレッチェ広島)、藤春廣輝(ガンバ大阪)、FW興梠慎三(浦和レッズ)を除く14人の顔ぶれの立ち位置をあらためて検証してみた。
今シーズンのJ1における戦いで、所属クラブでレギュラーとしてプレーしてきたのはGK中村航輔(柏レイソル)、DF植田直通(鹿島アントラーズ)、岩波拓也(ヴィッセル神戸)、亀川諒史(アビスパ福岡)、MF遠藤航(レッズ)、大島僚太(川崎フロンターレ)の6人しかいない。