チームにプラスしたい要素。合致したピース
また、今回は名前こそ直接出さなかったものの、バックアップメンバーの1人に「川崎」の「35歳」の選手をリストアップしたという。すなわち中村憲剛のことだが、大島と全く同じタイプではないものの、パスのスピードや正確性、中盤で攻撃のクオリティを出せるビジョンは共通する。
大島の場合はもちろん“若さ”というアピール要素もある。キリンカップで出場機会こそ無かったものの、合宿のパス練習や紅白戦で常連選手にも見劣りしないハイスタンダードを発揮していた大島は最終予選に向かうチームにプラスしたい要素に合致していると考えられる。
9月1日のUAE戦と6日のタイ戦のうち1つでも負け、いや引き分けでも多大なプレッシャーがかかることが予想される大事な2連戦に向けて、大島も戦力になる想定で招集されているはずだが、パフォーマンスのカギを握るのは守備だろう。
ハリルホジッチ監督も認める通り、クラブにおいても五輪代表においても長足の進歩を示している要素ではあるが、リオ五輪のナイジェリア戦では攻撃で高いクオリティを発揮した一方で、中盤で起点になる選手をチェックできず、大量失点の1つの要因になった。
途中出場のコロンビア戦では守備でも中盤のチェックから自陣での粘り強い対応まで高い意識が見られた。ただ、厳しい流れの中で安定的にそうしたパフォーマンスを継続できてはおらず、周囲のメンバーも変わる中、大事な最終予選でのパフォーマンスは未知数の部分もある。
それでも中盤で相手から主導権を奪い、そこからゴール前に絡んでいくオプションとして大島にかかる期待は大きい。このチャンスをものにできれば、アジアを勝ち抜き、世界を目指すチームをさらに進化させるためのキーマンになるかもしれない。
(取材・文:河治良幸)
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