高インテンシティの試合で求められるパススピード
大島本人の成長がアジア最終予選のスタートという、4年間においても重要なタイミングでのA代表招集に結び付いたことは間違いないが、もう1つ大きな意図が込められていると考えられる。キリンカップのメンバー発表で、大島の選出理由について上記の評価に加える形であげたワードがある。“パスのスピード”だ。
二次予選から最終予選に舞台を移す上で大きく変化する1つが中盤の“インテンシティ”だ。そのインテンシティは“プレーの強度”と日本語で言い表されるが、指導者によって多少解釈が異なる傾向が見られる。
コンタクトプレーの強さであったり、選手の密集度であったり、プレーのスピードと正確性であったり、連動性であったり。ただ、共通するのはボールを持っている選手がその場に止まって考えるような余裕を与えられない度合いが高まるということだ。
二次予選で当たったアフガニスタンや(最終予選には勝ち進んだが)シリアも純粋なフィジカルコンタクトは強かったが、攻守のプレースピードや正確性は欠けていたため、日本の中盤はスムーズに攻撃を組み立てやすかった。
シンガポールのような相手に、ゴール前を固められて攻めあぐむ時間帯はあったが、最終予選は中盤の攻防がよりタイトになってくることは間違いない。例えば昨年の10月に1-1で引き分けたイラン戦が分かりやすい例だ。
そうしたインテンシティの高い試合で試合の主導権を握るには守備で相手にプレッシャーをかけ、押し込まれる前にボールを奪うこと、攻撃では相手のプレッシャーを上回るプレーのスピードと正確性を発揮することがテーマとなる。
もちろん、時にボールをキープして相手の守備を引きつけ、背後にパスを通すプレーなども有効になるかもしれないが、ハリルホジッチ監督のチームにおいてはアドリブの要素で、ベースは練習から意識的に取り組んでいる1タッチ&2タッチのパスと連動した動き出しになる。