悲劇的敗戦で失墜したブラジルサッカー
2014年、ワールドカップ・ブラジル大会においてメキシコのTV、ガウガジーラのコメンテーターをしていたドゥンガに再びチャンスが巡ってきた。
「代表監督を退いて以来、私はいろいろな書物を読んだし、各地を回り、たくさんの代表を観察することもできた。ワールドカップ期間中には同じく解説者を務めていたアリゴ・サッキとよく一緒にカフェへ行き、たくさんの話をする機会に恵まれた。彼といろいろと意見交換することもできたのだ」
ドイツに対しての屈辱的な敗戦を目の当たりにして、ドゥンガは何かしなければいけないと、使命感のようなものを強く感じたのだろう。その気持ちが監督を再び引き受けた動機となったはずだ。
「全てのブラジル人が同じ感じ方をしたと思うが、私は、目の前で起きていることが信じられない気持ちだった。あたかも夢をみているかのようで、現実で起きていることだとは思えなかった。私もサポーターも、まさにショックを受けていたのだ。現実に起きていることとはとうてい思えなかったのだ」
しかしドゥンガに課せられた使命は、失墜したブラジルサッカーを復興するという非常にきびしいものだった。
2014年10月にシンガポールで行われる日本戦を前にTBSがブラジルでドゥンガにインタビューを行っている。そこで監督就任を引き受けた理由などについて語っている。
「私が監督を再び引き受けたのも、とても大きな挑戦であるからだ。このようなチャンスを得られる人はごく少ないはずだ。監督として試合に臨むわけだが、これまでセレソンの中で働いてきた者として、このようなチャンスが現れたのだから、再びいい仕事をしたいと思うのは当然だろう」