「ビバ・キヨタケ!」の声が響く予感
面白いのは、清武は合宿や遠征ではイェウヘン・コノプリャンカと同室だということだ。一体どうやってコミュニケーションを取り合っているのだろうか。どちらもスペイン語は満足に話せないし、英語も母国語ではない。
だが清武のケースに関しては、適応に問題があるようには感じられない。試合後のサポーターたちも、「とんでもない、良くやってるじゃないか! スペイン語も話せないのに!」と評していた。
ウクライナ代表のコノプリャンカはセビージャが苦労の末に獲得した選手だったが、コーチングスタッフの一員であるドミトリ・チェリシェフが練習の際に言語の面で助けになってくれるにもかかわらず、彼はエメリ体制で傑出した存在にはなれなかったし、サンパオリ体制でも今のところはなかなか先発できず苦戦している。
プレシーズン中には活躍の目立った選手の一人であり、夏の練習試合ではチーム得点王だったが、その後は元チリ代表監督の要求に応えることができていない。清武の状況とは正反対だ。
清武は礼儀正しく几帳面で、いつも笑顔を浮かべ、注意深く指導に耳を傾け、スポンジのように周囲から全てを吸収している。ドレッシングルーム内でも幸運に恵まれ、チームメートからの尊敬や愛情を勝ち得ようとしている。
入団発表の日に、何かスペイン語の言葉を言ってくださいと記者たちから要求された時も、「ビバ・エル・セビージャ!」とうまく対応していた。彼のクオリティやピッチ上での躍動は、今後のサンチェス・ピスファンで「ビバ・キヨタケ!」の声が何度も聞こえてくることを予感させる。
(取材・文:ロシオ・ゲバラ【セビージャ/マルカ】)
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