CF補強が進まないアーセナル。レジェンドFWも嘆く
「無理だ。彼の1トップでは無理」
発言の主は、元アーセナルMFで現解説者のポール・マーソン。何が「無理」なのかというと、2004年以来となる古巣のリーグ優勝。「彼」とは、アレクシス・サンチェス。トップクラスのアタッカーではあるが、プレミア王座返り咲きに必要と言われて久しい、ワールドクラスのフィニッシャーではない。
8月14日のリバプール戦(3-4で敗戦)でマーソンが嘆いたように、アーセナルはCF補強のないまま今季プレミアリーグ開幕を迎えた。浅野拓磨は手に入れているが、国内紙の表現を借りれば「トップレベル初心者」の日本代表FWは、労働ビザ取得の可否とは別の次元で今季の新戦力とはみなされていない。
試合後には、元エースのティエリ・アンリも「予算は十分にあると聞いているが、どういうことなのか? もはやトップクラスが移籍したがるクラブではないのか?」と、不満と不安を隠せずにいた。
続く第2節でも、ボール支配率では6:4でレスターを上回っていながら勝てなかった(0-0)。相手の最前線には獲得が噂されたジェイミー・ヴァーディーがいたが、やはり元アーセナルFWのイアン・ライトは「自分が彼の立場でも残留を選んだ」とコメントしている。
たしかに、29歳のイングランド代表FWは、アーセナルが遠ざかっているプレミア優勝を昨季に経験したばかり。レスターの慣れた環境を離れなくても、今季はCLの舞台まで経験できる。
しかし国外で活躍済みの大物FWにすれば、ズラタン・イブラヒモビッチがマンU入りを選んだように、プレミアの迫力と経済力に惹かれる気持ちはあるのではないか? アーセナルには「在ロンドン」の付加価値もある。選手とその家族は、市内北部の高級住宅街ハムステッドで快適なロンドンライフを送ることができる。
にもかかわらず、ゴンサロ・イグアイン、カリム・ベンゼマ、エディンソン・カバーニらは獲得候補の域を出ていない。