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Jリーグ 8年前

大島僚太、体調不良の中で見せた浦和戦の存在感。「鬼」の風間監督と中村憲剛が見守る“新10番”の成長

text by 今関飛駒 photo by Dan Orlowitz

普段は物静かな大島。それでも川崎の勝利に対する欲求は隠さず

風間
川崎フロンターレの風間八宏監督【写真:ダン・オロウィッツ】

 普段の大島は、物静かな性格だ。ピッチ上でのプレースタイルとは異なり、ミックスゾーンでは物事を多く語るタイプではない。

 浦和戦は日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督も視察に訪れていた。今月25日には代表メンバー発表も控えているが、A代表への意気込みを聞かれても「いや…、わからないです。あんまり考えてないですけど、(浦和戦は)課題も出ましたし、体がキツい中で後半は凄くバテましたし、まだまだだなと思います」と答えるにとどめている。

 リオ五輪スウェーデン戦のアシストも「たまたまかなと思います」と謙虚さを見せる一方で、選手紹介の際に浦和サポーターから浴びせられた耳をつんざくようなブーイングには、「ちょっと聞こえました。特に何も思わなかったです」と言い切る我の強さも持ち合わせている。

 自分のことを多くは語らない大島だが、チームへの思いは強い。1stステージでは鹿島に優勝を譲っていただけに、2ndステージ、そして年間総合でも首位を狙うためには浦和戦は重要な試合だった。

「1stステージで負けたということもありましたし、前節は鳥栖に負けて、優勝するために連敗はできないのでみんなの気持ちがひとつになっていたと思います」

 川崎は、1stステージにホームで浦和に敗れている。しかし、なぜか互いにアウェイチームの勝率が高いこのカードらしく、川崎が埼玉スタジアムでリベンジを果たした。

「同点に追い付かれても0-0だなと思ってましたし、そんなに慌てることもなく、ただピンチも作られていたり崩されたシーンもあったので、ああいうところは今後の反省でもあるなと思います」と、決して勝利に浮かれることもない。

 過去には何度も優勝争いを演じてきた川崎だが、いまだタイトル獲得経験はない。それでも今季は、クラブ史上初の栄冠に大きく近づいている。

 いつもは寡黙な男だが、大島が川崎の勝利に対する欲求を隠すことはない。クラブの悲願達成への鍵は、今季の“新10番”が握っている。

(取材・文:今関飛駒)

【了】

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