大島は「普通」。主将・中村憲剛が送る逆説的な称賛
ピッチで見せた大島の果敢なプレーに、体調不良で出場すら危ぶまれていたことを忘れてしまいそうにも感じさせられたが、実は試合中に主将の中村憲剛に対して交代を直訴していたという。
「2点目を取った時に、ケンゴさん(中村)に『ちょっともう交代させてもらえないか』って言いましたけど、そしたら井川さんが手を挙げて「もうオレ、ダメ」って言い出して(笑)。そしたら『オレは頑張るしかない』と思いましたね。ちょっとスタッフにも言いました。『ヤバいかもしれない』って。寒かったりもしたので。でも井川さんがあんな感じだったので…。しょうがないです」
74分に2点目を奪った川崎だが、その直後に井川祐輔が負傷交代している。井川を交代させても川崎は交代枠を1つ余らせていたが、風間八宏監督は大島を交代させることはなくプレーを続行させている。
風間監督はコンディション不良の中でプレーを続けた大島の成長について聞かれ、自らを“鬼”と称した。
「これだけハードなスケジュール、これだけ体調が良くない中でよく90分やったと思います。普通だったら監督が“鬼”と言われると思うのですが、しっかりとよくやってくれたなと」
この試合で先制点を奪った中村も、大島の成長を感じている。「リオ五輪から帰ってきた大島の逞しさは増したか」と問われると、「変わんないっす」と即答。しかし、逆説的な表現で大島を称賛した。
「アイツはアイツだから。普通です。ちょっとしんどそうでしたけどね。でも試合に出る以上はアイツも覚悟決めてだろうし。風間さんもそういう人だから」
リオ五輪へ行く前も、そして帰ってきてからも、多大な才能を秘めていることに変わりはない――。「普通」と言い切った中村だが、恐らく大島をそう評価しているのだろう。
「僚太は出たらやるし、そこで『出来ません』っていうなら代わればいいだけですから。でも、そういう男じゃない」。主将の中村は、確かに大島の成長を感じ、大きな信頼を寄せている。