満足しない香川。シュールレとの連携面は大きく向上
自身の2ゴールについて、香川は「あんなにきれいにこぼれてくることは、2点ともそうですけど、ラッキーとしか言いようがない」と振り返る。こぼれてきたボールを押し込んだだけ、ということになるのだろうか。香川に言わせれば「運」ということになる。
それでも、ブンデスリーガの開幕まで約1週間となった段階で、目に見える結果を出したことは評価されて然るべきだろう。謙遜しつつ、香川も「良いスタート」と手応えを感じた。
そして先制の場面について「上手く連動した攻撃だった」と香川が振り返るように、トリアー戦で目立ったのは“シュールレの融合”だ。EUROに参加したため8月の頭に合流したばかりのシュールレだが、コンディションを順調に整えて、トリアー戦では先発に名を連ねた。そして香川と卓越したコンビネーションを見せて、先制点を演出する。
2点目も、シュールレがエリア内で上手く潰れたことで生まれたものだ。そして45分には、オーバメヤンの右からの折り返しを、右足ダイレクトでゴールを決める。3-0。
トリアー戦のシュールレを見れば、新戦力の融合は、順調に進んでいるのではないだろうか。
香川は言う。
「まだまだだと思いますし、ただでさえメンバーが変わって、新しいメンバーも増えているので、忍耐強くやり続けていきたいです」
シュールレはパフォーマンスも含めて1ゴールと結果を残したが、ドルトムントにとっては、階段を一段登ったに過ぎない。
「リーグ戦も始まっていないのでね。リーグ戦が始まってから苦労するところはあると思う。逆にでも、彼ら新しいメンバーの違いであったり、力が融合したときに、またいいサッカーができると思っている。それを上手く発揮できるようになるには時間は絶対必要だと思うので、忍耐強くやっていく、やり続けていきたいと思います」
トリアー戦で香川は2ゴールを決め、結果を残した。しかし、決してチームの現状に満足してはいない。先を見据えている。
「忍耐強くやっていく」
ドルトムントが成長の余地をまだまだ残した、トリアー戦だった。
(取材・文:本田千尋【トリアー】)
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