姿勢はブレず。だがプラスアルファは必要
追加点を奪えないという課題があるが、敗れたFC東京戦では欲しかった2点目を挙げている。それまでは攻め急いでしまい、相手が戻りきる前にフィニッシュへ持ち込もうとする意識が強いため、単純なボールロストも多かった。
だが、FC東京戦は相手がブロックを作って守るタイプだったこともあり、後ろに下げて組み立て直す時間もあった。前からハメに来るチームに対してロングボールに頼ってしまう“癖”が依然として残るが、成長の余地は残されている。
また継続性についてはベテランの太田吉彰も同意見だ。
「ブレずに、目指している方向を信じてやっていくことが大事。そこがブレてしまえばチーム全体としてもおかしな方向に行ってしまう。誰か一人でも『もう無理だな』と思ってしまうと絶対に勝てない。やることは今までと変わらず、でも勝てない理由があるので、そこにプラスアルファを付け足していければ。
これがダメだったから次はああしてみる、違う動きをしてみる、前回よりも走る、シュートを打つ。色々あると思うけど何でもいいので、前回の試合からひとつずつプラスを付け加えていければ必ず勝てると思う」
今シーズンの磐田はJ1経験の少ない選手が多い。山本康裕や大井、そして太田と、トップカテゴリーで200試合以上出場している彼らの存在は貴重だ。
磐田の指揮を執るようになってから、クラブのレジェンドは一貫して4-2-3-1の布陣で戦ってきた。しかし、今年3月の練習試合で3バックにチャレンジすると、4バックと併用する形でシーズンを送ることになった。
「攻撃へのパワーを考えて3バックのほうがいい」と指揮官は繰り返す。攻撃に焦点を当てた時、後方の面々が強い意識を持たなければ成立しないが、最終ラインが高い位置を取るという意識は共有されている。全体をコンパクトに保つことで前線からの守備を助けることが大きな目的だが、攻撃を後押ししようという姿勢も見える。
しかし2ndステージに入ってからは、サイドでの守備で“行ききれない”場面も散見されるようになった。サイドで数的優位を作りきれないこともある。相手のパワーとスピードに後手を踏み、潰しにいくのではなく帰陣して構えようとする。この選択自体は『悪』ではないが、チームの目指すスタイルを具現化するには、前に出て行く守備が求められる。