FAの基準を満たしていない浅野
アーセナルがFAへの要請を行う場合、浅野についての申請は3名で構成される特例委員会に提出されることになる。委員会はまず2段階の基準に基づいて選手の適性を審査したあと、クラブからの主張を聞いて審議を行う。
特例委員会が承認を検討するためには、「パートA」で4ポイントあるいは「パートA」と「パートB」で累積5ポイントに達するだけの基準を満たしている必要がある(パートAとBの詳細に関しては表を参照)。
過去には岡崎慎司や川島永嗣といった選手たちの経歴が委員会を動かすことに成功したものの、浅野がこのリストで5ポイントの獲得を達成できないことは明確だ。21歳以下の選手たちに対するある程度の緩和規定が適用されたとしても変わりはない。
浅野が「パートA」で4ポイント以上、あるいは「パートB」で必要なポイントを獲得することができたとすれば、クラブは委員会に対して追加情報を提出することが認められ、彼が「特別な才能」として承認を得るための訴えを行うことができる。
この夏に開催されるリオ五輪で目覚ましいパフォーマンスを見せたとすれば強力な説得材料となる可能性もあるが、やはりアーセン・ヴェンゲルとしては宮市亮のケースと同様の形となることを考えているのではないだろうか。宮市も、アーセナルが労働ビザ取得の過程を世話した日本人選手の1人だった。
最終的に浅野拓磨がアーセナルのユニフォームを着る姿をファンが目にするためには、彼が「トップリーグ」(FAの定義によれば「FIFA世界ランキング通算トップ20のチームに大半の選手を供給する欧州サッカー連盟(UEFA)の6大リーグおよび南米サッカー連盟(CONMEBOL)の2大リーグ」)で力を証明し、ヴァヒッド・ハリルホジッチのもとでレギュラーポジションを掴むまで待つ必要がありそうだ。
その前に、まずはエミレーツ・スタジアムでのメディカルチェックを完了し、契約のサインを済ませた上で、来シーズンを戦うためのレンタル先を見つける必要があるのだが。
(文:ダン・オロウィッツ)
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