1.大会の位置づけ
ブラジルとドイツにはオリンピックに対する参加姿勢で明確な差がある。「本気で勝ちに来た」ブラジルに対して、あくまでも「育成の場」の一つとして考えているドイツという違いだ。
ブラジルは国際主要大会の中で唯一オリンピックの金メダルを獲得していないこと、そして自国開催ということで、バルセロナのFWネイマール(オーバーエイジ枠)やパリ・サンジェルマンのDFマルキーニョス、ラツィオのFWフェリペ・アンデルソンといったクラブシーンで既に実績を残している選手たちを招聘している。
一方のドイツは全体的に将来を期待されながらも現在は「売り込み中」の選手たちが中心だ。OA枠もMFラース・ベンダーとDFスヴェン・ベンダーの双子のベンダー兄弟、そしてレバークーゼンのFWニルス・ペーターゼンとあくまでサポートに徹している印象となっている。EURO2016と負傷の影響はあったが、トーマス・ミュラーやマリオ・ゲッツェといったOA枠選手だけでなく、ジョシュア・キミッヒ、ユリアン・ドラクスラー、レロイ・ザネといった23歳以下の選手たちも招集できなかった。
この結果、両者の招聘メンバーの市場価値合計は2倍もの差が開いている。ブラジルが2億5745万ユーロであるのに対して、ドイツは1億1950万ユーロとなっている。
2.実力者揃いも若いブラジル
大会の参加姿勢は異なる両チームだが、チームの平均年齢に大きな違いはない。ブラジルが22.9歳に対してドイツが22.6歳となっている。ブラジルは実力者をOA枠で呼んだといっても、ネイマールは未だ24歳、MFレナト・アウグストとGKウェヴェルトンも28歳だ。
ブラジルにとっては当初ゴールマウスを任せようとしていた38歳のGKフェルナンド・プラスが右ひじ負傷で離脱したことが痛手となった。結果、実力者は揃いながらも“経験”という側面では若干の不安を抱えている。