国の経済成長とともに月俸も右肩上がりに
ベトナムプロサッカーリーグ(Vリーグ)が2000年にプロ化して既に15年以上が経った。この間にベトナムは大きな経済発展を遂げており、サッカー選手の平均給与も高騰。今回は知られざるベトナム人プロサッカー選手の“お金”の話を紹介する。
プロ化最初のシーズンとなった2000年は、イギリスのスポーツマーケティング会社「STRATA」が冠スポンサーとなり、「STRATA Vリーグ2000」と名付けられてスタートした。しかし、当時はサッカーに投資する企業が少なく、クラブは多くの困難に直面していた。
有名選手でも月俸は500~600万VND(約2万3000円~2万7000円)。リーグ全体の平均月俸は200万VND(約9000円)。誰もが憧れる職業……とはお世辞にも言えなかった。
2002シーズンに入ってからは、不動産大手のホアン・アイン・ザライ(HAGL)やベカメックスグループ、建設資材大手のドンタムグループなどの大企業がサッカーへの投資を開始。これにより、選手たちの待遇もかなり向上する。そして、2003年には選手の大型移籍が活発化。ここからの数年間は移籍市場がバブルと化し、紙面にも景気のいい数字が並ぶようになる。
カン・サイゴンFC(サイゴンポート)からドンタム・ロンアンFCに4億VND(約180万円)で移籍したMFグエン・ミン・フオンやティエンザンFCからベカメックス・ビンズオンFCに10億VND(約450万円)で移籍したMFチャン・チュオン・ザンなどがその最たる例だ。
移籍市場の活性化に伴い、優秀な選手は引く手あまたとなり、選手の月俸も右肩上がりに上昇。そんな中でもFWグエン・ベト・タンは、バブル時代の移籍市場を語るうえで欠かせない人物だ。
2002年に契約金(※移籍金と異なり、選手本人が受け取る)5000万VND(約22万7000円)、月俸1000万VND(約4万5000円)という当時最高クラスの条件でホーチミン市警察FCからHAGLに移籍。ここから給与は右肩上がりに上昇していくことになる。
同選手は、8年後の2010年には、契約金90億VND(約4100万円)、月俸5000万VND(約22万8000円)という史上最高額でビッサイ・ニンビンFCに加入した。