事故に対して準備ができているものなどいない
選手として90年、94年、98年と三大会に出場し一度は優勝もしている、セレソンを熟知しているドゥンガだけに、歴代のブラジル代表の中で、2010年南ア大会のブラジルはどのような位置づけだと思っているのだろうか。
「数字が示していると思う。70%の勝率。コパ・アメリカ、コンフェデ杯に優勝している。アルゼンチンに5回か6回勝っている。コパ・アメリカの決勝では、誰もがアルゼンチンが優勝すると思っていながらも、我々が彼らを破り優勝した。南米予選では、アルゼンチンで勝利した。ウルグアイに対してもモンテビデオで33年ぶりに勝利した。2試合残された段階で南米予選を通過した。コンフェデで優勝。イタリア、イングランドに勝利した。
アメリカには2対0とリードされながら逆転した。つまり本大会まではすべて順調に進んでいたのだ。怪我をするのは人間だからしょうがないが、コンビネーションなどができあがるまでは時間がかかった。ワールドカップは1秒の間にすべてが変わってしまうのだ」
しかし全てが順調に進みながら、このような事故ともいえる局面に対処する準備はできていなかったのだろうか?
「事故に対して準備ができているものなどいないだろう。そんなことが分かっていたら事故など起こるわけはないのだ。怪我をしたり、ワールドカップ期間中には思わぬことが起こるものだ。
レフリーは我々の敵に回り、我々のプレーの流れを止めた。オランダがやりたかったのは、試合を止めること。我々は試合がテンポよく進むことを望んでいた。レフリーは我々の望むことを妨げた。しかしこのようなこともフットボールではよくあることだし、受け入れなければいけないのだ」
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