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ネイマールを2010年W杯で招集外とした理由。闘将ドゥンガが“セレソン”に感じる重み【フットボールと言葉】

シリーズ:フットボールと言葉 text by 竹澤哲 photo by Getty Images

最高の選手で戦っても、ミスが命取りになる

ドゥンガ(左)が監督を務めた2010年ワールドカップでは、カカー(右)がセレソンの中心だった
ドゥンガ(左)が監督を務めた2010年ワールドカップでは、カカー(右)がセレソンの中心だった【写真:Getty Images】

 しかし結局ドゥンガは最大の目標である2010年ワールドカップにおいて、優勝を果たすことができずに解任された。

 南ア大会の翌年、2011年にドゥンガが一時来日したことがあった。その時にもインタビューする機会を得た。日本代表について彼の考えを聞くのが取材の目的だったが、ドゥンガが南ア大会の敗退をどのように考えているのかも知りたかった。

 ブラジルのメディアにもその後、ドゥンガの記事はほとんど表れていなかったし、ドゥンガ自身もまだ触れたくないのかと思い、「あの大会については話したくないですか?」と遠慮して尋ねたのだが、意外にも「いやそんなことはない」とドゥンガは自ら語り始めた。

「私はしなければいけないと思った仕事はすべてやり遂げたと思っている。しかしフットボールは、たとえその時最高の選手で戦っていても、ミスをしたら、それが命取りになるのだ。あのオランダ戦において、ブラジルは前半とてもいい戦いをした。しかし後半に失点し、すべてが変わってしまったのだ」

「なぜそうなってしまったのでしょうか?」最初の遠慮も忘れて、私は食いついた。

「何か一つの理由があったわけではない。フットボールは人間がやるものだ。人間がやる以上、何か悪いことをしてしまうものだ。3年間かけてチームを作ってきて、まさにその一番大切なワールドカップを前に怪我をしてしまった選手がいた。

 ワールドカップに最良のコンディションで臨むことができなかった選手がいた。カカー、ルイス・ファビアーノ、ジュリオ・セザールも問題を抱えていた。他の大会では全員がよい調子だった。つまりフィジカル的なコンディションも、そしてまたミスも問題となったのだ」

 続けてドゥンガはレフリーのことにも触れた。

「一度はブラジルのゴールを認めておきながら、ハーフラインまで戻ってきて取り消したのだ。しかし今さら文句を言ってもしょうがない。負けたことに変わりはないのだから」

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