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セリエA 8年前

「取材に対して選手たちが“ギャラ”を求めてくる。勘違いするな」 ウーゴ・ルッソの魂【ラジオ・アナウンサーの矜持】

シリーズ:名ラジオ・アナウンサーの矜持 text by 宮崎隆司 photo by Takashi Miyazaki, Getty Images

放送終了後に届いた100万通を超えるメッセージ

 そして試合が終わると再びボスの粋な計らいで最後の中継がリボルノのスタジアムに振られた。もう一度ボスがウーゴに向かって声を掛ける。

「ウーゴ、これが最後だ。行けるか?」

 涙で詰まりそうになる声を懸命に振り絞りながらウーゴは試合の経過と結果を語り、だが、得点者の名を言うところでもう言葉にならなくなった。彼のプロフェッショナルとしての最後の言葉は、「素晴らしいリスナーへの心からの感謝」と「あなたたちの温かい声援は私の心に生涯残り続けます」だった。

 その彼の声をラジオで聞いているリボルノのファンたちは、放送ブースの中のウーゴに向かって拍手を送り続けていた。「Grazie Ugo(ありがとう、ウーゴ)」の横断幕も掲げられている。

 そんな彼へ、放送終了直後からわずか1日あまりで「実に100万通を超えるメッセージが送られてきた」という。そして、「その100万通の大半が10代や20代の若者たちからのものでね。なかには8歳の男の子が寄せてくれた可愛らしいメッセージもあったんだよ。これが一番嬉しかった」と、65歳のウーゴは目を潤ませながらも満面の笑みで語った。

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