強烈な存在感を示した大島僚太
大島は、手倉森ジャパンが3試合であげた7ゴールのうち、実に5つに絡む活躍ぶりで存在感を示した。そして、アシストとしてカウントされた3つのパス以上に強烈なインパクトを残したのが、ナイジェリア五輪代表との初戦でFW興梠慎三(浦和レッズ)のPKを獲得したプレーとなるはずだ。
日本の1点ビハインドで迎えた前半8分。ペナルティーエリアの左隅でボールをキープする興梠が、中央の大島へパスを預ける。しかし、死角となる背後からプレスバックをかけてきたMFウスマン・ムハマドにボールを奪われてしまう。
次の瞬間、大島はギアをひとつあげて、ボールを収めようとするDFムエンフ・シンセレとの間合いを詰める。激しいプレスをかけて球際の攻防を制し、ペナルティーエリアのなかでボールを奪い返す。すかさず右側でフリーだった南野へパスを通し、DFスタンレイ・アムジエのファウルを誘った。
一連の流れのなかで特筆すべきは、失われたすぐにボールを奪い返した点だ。ハリルホジッチ監督が好んで口にする「デュエル」、いわゆる1対1における激しさは、昨シーズンまでの大島にはなかなか見られなかったといっていい。
実際、フロンターレのチームメイト、FW大久保嘉人はリオデジャネイロ五輪の開幕前に、大島に関してこんな言葉を口にしたことがある。
「いままではディフェンスがあまり……だったんだけどね」
決してダメ出しをしているわけではない。大久保が過去形で言及したということは、要は昨シーズンまで足りなかった部分を補って余りあるほどの成長を遂げている証でもある。
「ディフェンス面で変わったよね。普通に体を入れて、ボールを取れている。相手のプレーの予測というものもできているので、安心して見ていられる。みなさんも知っての通り攻撃は上手いから、ディフェンスが伸びてきたのは非常に大きい。実際、めちゃくちゃ効いているし、いまやチームの心臓になっている。ホントにたくましいですよ」
こんな言葉を紡いだ大久保は、リオデジャネイロの舞台で大島が躍動すると確信していたのだろう。ナイジェリア戦で南野とFW鈴木武蔵(アルビレックス新潟)、スウェーデン五輪代表との最終戦ではMF矢島慎也(ファジアーノ岡山)のゴールをアシストした大島は、手倉森ジャパンでも心臓を担っていた。