突かれた一瞬の隙。試合巧者だったバイエルン
33分には、オーバメヤンからパスを受けた香川は、右を走るパスラックへ。パスラックの折り返しを、最後はデンベレがシュートを打つが、ゴールの上に外れていく。
ドルトムントは最後の精度を欠いた。
香川は振り返る。
「前半の、あの早い時間帯でとれたら、僕らは上手く主導権を握れてより戦いやすかった」
前半にドルトムントは攻め立てたが、「主導権」を握っていたわけではなかった。
「やりたいことをやられたのかなと思います」
コンディションが整わず不利な状況でありながら、それなりの戦い方をバイエルンに「やられた」。
50分が過ぎて、何度かノイアーの好セーブで防がれると、一瞬の隙だった。
58分。左サイドでリベリーからレバンドフスキにボールを入れられると、中央で受けたミュラーがさらに右に流す。ビダルが走り込んでシュート打つ。一度はビュルキが弾いたが、詰めたビダルにゴールを奪われた。0-1。
先制されたドルトムントは、前半からの勢いを削がれてしまう。さらに79分。右のCKから、最後はミュラーに詰められる。0-2。
アンチェロッティ=バイエルンは試合巧者だった。ドルトムントの勢いを上手くいなし、決めるところできっちりと決てくる。抜け目はない。
ドルトムントは、スーパーカップを0-2で落とした。しかし、この結果を反省こそすれ、気に病む必要はないだろう。
「長い戦いになる」と香川は言う。
「本当にワンシーズン長い。しっかりとしたものをこの序盤戦で築き上げて行きたいですし、そういう意味では個人的にも求められるものはある。まあでも、長い期間を見て戦って行きたいなと思います」
ドルトムントとバイエルン、犬猿のライバル関係は来たるシーズンも続く。今日は、その前哨戦に過ぎないのだ。
(取材・文:本田千尋【ドルトムント】)
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