不安要素だった「ソン依存症」が露わに。兵役問題で過剰に意識
ソン・フンミンは間違いなく名実ともに韓国を代表する大スターだ。24歳の若さにして切れ味抜群のドリブルや得点力を武器にドイツ・ブンデスリーガで活躍。しかしただ一つ、彼のアキレス腱になっているのが兵役問題だ。
これまで幾度の兵役免除のチャンス(2014年仁川アジア大会など)があったが、当時の状況が折り合わず不発。だからこそオーバーエージとして参加する今大会にかける彼の想いは人一倍強かった。
そのためか、グループリーグではその闘争心が若手にいい刺激となったのは間違いない。得点も着実に積み重ね、若手が主軸のチームを牽引。まさしく大会への想いがむき出しになった。
しかし、今日の試合ではある意味、ソン・フンミン招集が逆効果として露わとなってしまった。気負っているソン・フンミンにあまりにもボールを寄せてすぎていたのだ。もちろん選択肢として、オプションとしてゴールが必要な際に一番信頼できる選手にボールを寄せるのは当然かもしれない。
だが、彼を通さずにシュートを放つ場面が増えるなど柔軟性がもっとあれば――たとえば、両サイドを活発に動きながらチームの攻撃を活性化させたファン・ヒチャンを活かすシーンがもっとあれば、違うチャンスが巡ってきたのでないか。
しかも、この世代は2014年アジア大会でソン・フンミンがいない状態で、金メダル獲得の成果を出している。つまり、チームとして勝利を収めた「経験」を持っている世代。個人に頼らずに、チーム全体の動きを活かすシーンがもっとあったら、この試合の結果も変わってきたのではないか。
ソン・フンミンは8本のシュートを打ちながらも無得点に終わった。兵役が頭にちらつき、過剰に意識してしまった彼への依存があまりに高く、それが負のサイクルにつながったことは否めない。